横顔だけじゃ、足りなくて



気付けば時計塔の時計に目を向けると、時刻は15時半を過ぎるところだった。


スマホでLINEをチェックしてみたけど、彗くんからの連絡はない…


何かあったのかな…?


スマホにジッと目を向けていると、どこかからか走ってくる音が聴こえてやがて私の前でその音は止まった。


パッと顔を上げると、息を切らして肩を上下に揺らして呼吸する彗くんが…




『ほんと、ごめん!』


「いいよいいよ!
バイト長引いたんでしょ?」




走ったせいで頬がほんのり赤い。


きっと、バイトが終わってすぐに走って着てくれたんだ。




『うん…
バイト、人手が足りなくて。
クリスマスだからか客足が凄いんだ』




グレーのコートに、いつもの緑色のチェックマフラーを身に付けている。


スラリと前に立つ彗くんは、もう息を整えていた。


今日はクリスマスだもんね。


外食がメインだろう。


バイト…




「私、やってみようかな…」


『…えっ!?』






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