横顔だけじゃ、足りなくて
辺りをキョロキョロしながらアーチを潜り、受付を済ませてイルミネーションをまわる。
あ〜、周りの目が気になって下を向いてしまう…
だからか自然と彗くんの一歩後ろをついて行く形に。
すると急に立ち止まった彗くんは、黙って左手を出してきた。
『真彩、堂々と歩こ?
人目なんて気にしなくて良いんだよ』
「…うん」
ゆっくりその左手に、私の右手を乗せると、さっきみたいにまた優しく握ってくれた。
でもまだ彗くんを見上げられないまま…
辺りからはカップル達の声が耳に届く…
『ほら、下向かない!』
「あっ、ごめん」
『笑って歩こうよ』
咄嗟に見上げた彗くんの顔は、にっこり笑っていて、私にまで笑顔が移ってしまった。
うん…うん!
「笑う!」
『それで良し!』
私も満面の笑みで彗くんに答えた。