横顔だけじゃ、足りなくて




その顔を見られたくなくて、私はベンチから立ち上がり彗くんの胸に飛び込んだ。


笑って、彗くんは私の背中に手を回して抱きしめてくれた。


初めてのペアリング…


しかもお揃いの!


じゃぁ、この為にバイトを増やしてたの?


一生懸命働いて、稼いだ大切なお金を私の為に…




『安いのでごめんね…
もっと良いのたくさんあったんだけど』


「うぅん!
これが良い。
だって、彗くんが一生懸命バイトして、お金貯めて買ってくれたんだもん」




値段なんてどうでもいい。


安いアクセサリーショップの中でも、一番安いリングでも、やっぱり嬉しいって女の子はそう思うはず。


だって、好きな人が選んで買ってきてくれた事に変わりはないんだから。





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