横顔だけじゃ、足りなくて
先輩から借りた小説を読んでいると、那雲からLINEがきた。
〔部活、終わったから来て〕
〔りょーかい!〕
すぐに返信をし、続きのページに栞を挟む。
来てと言われても、家が隣同士だからすぐに行ける距離にいる。
リビングに行ってお母さんを見つける。
「那雲の家行ってくるね!」
「はーい!
なっちゃんによろしく!」
キッチンから優しいお母さんの声がして、それを聞くなり家を出た。
那雲の家に着くなり、チャイムは鳴らさず普通に家に上がる。
これは今まで通り!
「おじゃまします!」
「おっ!
真彩ちゃん!
那雲なら部屋にいるから」
「はーい♪」
笑顔で夏奈さんに返事をし、二階にある那雲の部屋へと階段を登る。