横顔だけじゃ、足りなくて
「那雲!」
部屋に入るなり、那雲のベットに飛び込んだ。
布団から那雲の匂いがする…
「真彩、毎回ダイブするよなぁ」
「だって、那雲のベットふかふかなんだもん」
他の男の子には絶対出来ない…
生まれてすぐからずっと一緒にいるから出来る行為かなぁ。
こんなこと出来るのは那雲だけ。
「あれ?
またアザ増えた?」
七分丈を履いている那雲の脚には、アザがいつも数箇所ある。
痛々しく青じんでいて、見てるこっちまで痛くなる…
でも毎回那雲はこう言う
『大丈夫!
アザなんか気にしてられっか!』
そういつも飛びっきりの笑顔で笑うんだ。
でも、今日はその笑顔の頬に傷があった。
左頬に擦り傷が見える…
「那雲、頑張りすぎ」
『まだまだだよ』
机のイスに座ってこっちを見る那雲に近づいて、左頬に絆創膏を貼った。