横顔だけじゃ、足りなくて


近くの公園でバスケットボールをパスし合う。


このボールは夏奈さんの!



「ねえ!
なんで夏奈さんにお願いしないの?」



ボールを那雲にパスする。


いわゆる言葉のキャッチボールというもの。


だって、夏奈さんの方がバスケ上手いし…


逆に私は文化系なわけで、運動神経は良くない…




『お前でいーの!』


「私、パス下手だよ?」




来たボールをまた那雲にパスするが、方向がズレて取りに行かせるハメに。


運動神経が抜群の那雲と千加とずっといるから、自分の運動力の無さに思い知らされる。




『俺は気にしてねーよ!』




那雲が笑顔でパスしてきたボールはずっしりと、私の手元に返ってきた。


お昼の太陽が那雲の笑顔をまた一段と明るくする…


日にあたって茶髪に輝く髪を、風がサラリとなびかせる。




「ありがと…」


『聞こえねーぞ!』


「もう…ありがとう!」




やっぱり、那雲が私に向けてくれる笑顔は好きだ。




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