横顔だけじゃ、足りなくて



授業終わりの10分間の間、少しの時間だけだけど小説の続きを読む…




『なぁー』


『なぁーってば!』



「へっ!?」




急に小説を取り上げられ、顔を上げると那雲が不機嫌そうに私を見ていた。


うわっ、話しかけられてたんだ…


小説は集中して読まないと、話が全く入ってこないからつい周りの声をシャットダウンしてしまう。




「ごめん…」


『お前よくこんなの読むよな』




つまらなさそうに、本をパラパラ捲る那雲。


本を好きになれない人は、人生の半分は無駄にしてると思うんだよね。


でも難しい本は私も無理だけど…




『俺は漫画までだな』


「那雲も読んでみなよ?」


『いや、絶対無理!』




即答で答えるなり、歯を見せて笑う那雲。


まぁ…ちょっと無理あるかな?


教科書の物語読むだけでも毎回、一人で唸って粘るけど、大半諦めてしまう。


詩だと『短すぎてわかんねぇ』って言ってたもんね。




「それ、柊良先輩に借りてるの」


『ヘー。』


「何?興味なさげだね」


『あいつ気に食わないんだけど。』




そう言って那雲は嫌そうな顔をした。



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