横顔だけじゃ、足りなくて



すると先輩は笑った。



『やっぱり俺は那雲くんにかなわないのかな』


「そ、そんな事ないです!」




一生懸命に首を振って否定する。


でも、かなわないってどういう意味ですか?




『ありがと。
昼からの試合、頑張るからさ』


「はい!」


『那雲くんに負けられないな』




先輩は立ち上がって伸びをした。


先輩の笑顔はキラキラしていて、私まで笑顔になった。


誰かの隣で、こんなに気持ちがわくわくするのは久しぶり。


結果はどうであれ、試合が楽しみになってきた!


新間先輩は那雲に対抗心を抱き

那雲は新間先輩と柊良先輩に

柊良先輩は那雲に…



たかが球技大会って思うかもしれない。


けれど、これぐらい熱くならないと楽しくないんじゃないかな?


結果なんて、やってみなきゃ誰にもわからない。


これは毎年新しいクラスで仲を深めるために行われているって聞いた。


クラス替えのないところは、あまり面白くないって言っているみたい。


私も、もっとみんなと話せるようになりたいな♪




「応援…頑張ります!」


『ありがと…
じゃぁ、行こっか』




微笑む先輩の後ろを歩く…


この距離をゆっくり縮めたい。




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