横顔だけじゃ、足りなくて
《ピピッー…》
56対63…
那雲のチーム負けちゃった。
試合が終わるなり乱暴にタオルを取って、体育館を出て行った那雲の後ろ姿…
その姿を見ていた私の背中を果歩先輩が優しく押し出した。
「行ってあげな?
那雲くんのところ」
「…はい!」
腰に手を当てて笑った先輩の表情は、さっきの曇った表情はなかった。
先輩に一礼をして、走って体育館を飛び出した。
左右どちらを見ても那雲の姿はない…
私、そういえば那雲の行く場所なんて知らない。
教室?
それはない。
屋上?
それは行けないし…
とりあえず歩かないと見つけられない!
グラウンド周辺を歩いていると、お昼を食べた木下にいる人がいた。
もしかして…