横顔だけじゃ、足りなくて
決勝戦では2-7VS3-3となり
惜しくも先輩達は敗れてしまい、3年生が優勝を果たした。
試合では、準決勝で見た素早い動きの柊良先輩ではなくなっていた…
素人な私にもわかるぐらいに動きが単調化していた。
これもあの和奏さんが原因なのかな?
いや、それしか考えられなかった。
でもどうして…。
『おい、真彩聞いてんのか?』
「ん?あぁ…ごめん」
那雲と二人の帰り道、頭の中はその事でいっぱいになっていた。
隣ではすっかり元気になった那雲がベラベラ話す中、私はその内容が一切頭に入らなかった。
『なんかあった?』
立ち止まって優しく声をかけてくれる。
でも、首を横に降る。
私がわからないことを那雲に言っても、何も変わらないから。
ましてや、那雲が好いていない柊良先輩絡みの話だ。
余計言えやしない…
『そっか。
まっ、あんま悩むなよ!』
「う、うん」
『いつでも相談乗るからさ』
白い歯を見せ、笑った那雲は足をまた動かした。
那雲の隣へ急ぎ、肩を並べて家までの道をまっすぐ歩いた。