横顔だけじゃ、足りなくて



いつも誰もいなかったはずなのに…


黒いソファーで一人、顔に本を被せながら仰向けに寝ている男の人がいた。


すぐ側の小さいテーブルにはスマホと眼鏡が置いてある。


間違いなく、この人のだ。


恐る恐る近づいて見てみると…


あった…

しかもこの人が顔に乗せてる本…

これは取りにくい…

けど、勇気を出して話しかけてみようかな。


高校では変わりたい…から。



「あ、あの〜」



勇気を出して言ったけれど…


やっぱり無反応ですよね。

身動き一つしない。

それじゃ、困るんですが…


今度はもう一歩近くで…



「すいません!!」




言えた…!




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