横顔だけじゃ、足りなくて



先輩はうんと頷いて口を開いた。




『和奏は元カノなんだ』




そう切り出した話に私は頷いた。


それを見た先輩は全て話してくれた。


中3の最後に告白された事

降るのが可哀想になって付き合った事

でも、結局好きになれずに去年の冬に別れを告げたらしい。


だけど、振られた和奏さんはその後学校にあまり来なくなった。


最近になって学校に来るようになった和奏さんは、クラスに馴染めずずっと一人でいるのに先輩は気づいていたみたい。




「だから先輩は、果歩先輩達から少し距離を空けて歩くんですね…」




和奏さんの気持ちを理解しようとするように。


いや、自分のせいで一人にさせてしまったと考えているから?




『うん…
学校に最近行かないのは、ただ和奏に会いたくないからなんだ』




会いたくない…


きっとまだ和奏さんは先輩の事が好きなんだ。


だから会いたくて…

人目でも先輩を見たくて体育館に来たんだ。




< 76 / 287 >

この作品をシェア

pagetop