横顔だけじゃ、足りなくて
好きな人になかなか振り向いてもらえなかったんだ。
きっと、いっぱい互いに努力したはず。
好きになってくれるように
好きになれるように…
形的には付き合っていても、二人の心は一つじゃなかった。
「一度会ってあげて下さい…」
『でも…』
「このままじゃ、何も変わりませんから」
互いに心残りがあるのに、それを言わずすれ違ったままなんて辛いだけじゃないかな?
学校に居ずらくなるなら尚更。
私が和奏さんの立場だとしても、やっぱり一度しっかり会いたいと思う。
自分の気持ちにけじめを付けたいと思うに違いないよ。
「…会いたいんです」
『?』
「先輩に…学校で」
私はただ、学校に来てほしいだけなのかもしれない。
先輩に会いたいと思ったらダメですか?
笑い合いたいんです…
『わかったよ』
ゆっくり顔を上げた先輩は笑っていた。
可笑しそうに肩を揺らしながら
いつもの先輩に戻ってくれたかな?
『ちゃんと学校に行く、そして和奏と一度話し合う』
「はい!」
笑って先輩を見ると、目が合ってしまい恥ずかしくなって下を向いてしまう…
横顔じゃないとこんなにも緊張するんだ…
『顔、上げてよ…?』