横顔だけじゃ、足りなくて
悩み事はけっこう一人で抱え込むタイプなんだよね…
話してもらえない限り、私は何もしてあげられない。
なんて無能な自分なんだろ
私が悩むとすぐ那雲は気づいてくれるのに。
「何かあったら言ってね?」
『うん…』
明らかに元気がない!
那雲らしくない…
笑わせてあげるには…んーっと
私何か失態したっけなー…
たぶんない。
面白いニュースは…
見てない。
あっ!
「私、朝ね卵焼き作ったんだけどね、殻入っておまけに焦がしちゃったんだー…」
『何、急に?』
「あー!ほら見てよ!
この卵焼きだよ!」
笑いながらお箸で少し焦げた殻入り卵焼きを取り出す。
ヤバイ…
絶対変な目で見られてる…
愛想を尽かされたのか、那雲は立ち上がった…
すると私が掴んだ卵焼きをパクリと口に入れた。
へっ?
『すげー苦いし殻入ってる…
これじゃぁ、虹二の方が上手くねーか?』
虹二(こうじ)とは私の弟
中1で最近サッカーを初めたばかり。
本人曰く、『お父さんがしてたから俺に出来るはずだ!』って
毎日ルールbookなどでサッカーを勉強中…
確かに虹二は料理は出来るけど。
「ムッ!
今、お料理勉強中なの!」
『ハハッ!
そー怒んなよ』
絶対、見返してあげるんだから!
なら、那雲が大好きなチーズケーキ作る!
そして、『美味い』って言わせてあげるんだからね!
『どーせ、俺を笑わせようとしてくれたんだろうけど』
「ば、バレてた」
『真彩の考えはバレバレ。
でも、ありがと』
恥ずかしそうに下を向いた那雲
でも、ちゃんと笑ってくれた!
「うん!」
今度は美味しい卵焼きを食べさせてあげる。
だから…また食べて欲しいな。