横顔だけじゃ、足りなくて



鞄から折り紙を取出す。


今日は七夕というだけあり、短冊がなくなっていたらどうしようと入れてきたのだ。




「これにお願い事を書いて、鶴を折ってください!」




折り紙を何枚か両手で持って開けて見せた。


すると先輩は笑って、水色の折り紙を取った。




『なんで折り紙こんなに持ってるの?』


「帰りに、短冊がなくなっていたら…と考えて…」



『ははっ!
普通いっぱいあるはずだよ』




先輩は笑いながらも、ボールペンでお願い事を書いてくれている。


私も下敷きを下にしてボールペンでお願い事を書いていく…


叶ってほしい…




「あっ!
首は折っちゃダメですよ」


『えっ!?
危な!折りかけた…』




お母さんから聞いた話によると、首を折ってしまったらお願い事が叶わないみたい…


私も小学生の頃とかに何回か間違って折った事があった。




「よし、出来ました!」


『交換する?』


「へっ!?」




先輩は私が折った薄ピンク色の鶴を取り、代わりに手のひらに水色の鶴が乗せられた。


この中に、先輩のお願い事が…


気になる…


けどダメだ!


見たらお願い事が叶わなくなる…




『見るのはなしで』


「わ、わかってます!」




どこか嬉しそうに私の鶴をお財布にしまった先輩。


期待してしまいます…




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