横顔だけじゃ、足りなくて



放課後になり、那雲が鞄を持って私の手を引いて廊下を歩いていく…




「部活は!?」


『パス』


「ズル休み!?」


『…』




レギュラー入り、たぶんダメだったんだ…


5、6限目ずっと寝てたもんね。


那雲の事だ、悔しくて悔しくて自分が情けなくなったんだ。


それで部活に行く気力をなくした。




「なんとなく、わかったよ」


『…』


「大丈夫、大丈夫!
私が慰めてあげるから」




那雲はずっと黙ったまま、ローファーに履き替えていつもの帰り道を歩いていく。


なんか…気まずい!

何か話してよ!

って…無理か。


部活、毎日頑張ってたもんね。




『ごめん、今日俺無理だわ』




那雲が口を開いたのは、商店街の入口に差し掛かった時だった。




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