横顔だけじゃ、足りなくて
軽く一礼をし、隣に座って見ることにしたけれど…
やけに緊張します!!
どうしよう!!
隣の人は黙って新しい本のページをパラパラめくり、読み始めていた。
図書室にいるということは、私と一緒で本が好き…なんだよね?
あー…だめだ!
緊張し過ぎて読んでも内容が頭に入らない!
『ねぇ、本が好きなの?』
目線はじっと本に向けられたまま聞かれた。
しかも思ってた事聞かれちゃった。
同い年?それとも年上なのかな?
「はい…主に推理小説を」
『俺と同じか』
彼は笑って私に本の表紙を見せてくれた。
そのタイトル…
中学2年生の頃にハマっていた小説
事件を推理していくと共に、少し恋愛要素が入っていてハラハラドキドキしていた。
「私、その本お気に入りです」
『そっか、それは楽しみだな』
黒縁眼鏡をかけて本を読む横顔が、あまりにも綺麗でついちらりと見てしまう。
いつも那雲といるせいか、こういう静かな男の人といるのは新鮮に思う…