O♡L
沈黙が続き、車体に当たる雨音だけが聞こえるだけ。


「…わりぃ。なんか困らせて…」


課長はボソッとそう言うと、あたしから離れた。

ようやく腕が解放される。


「あ…あたしも、ご迷惑をおかけして…すみませんでしたっ」


あたしは逃げるように課長の車から飛び出した。


まだ降り続ける雨の中を傘も差さずに、走って東京駅に向かう。


駅に着いたときには、あたしはまたビショビショになっていた。
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