Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
目の前に広がる光景に、美影はただ全身を震わせていた。


「由羅姉…」

「怪我はないか?」


由羅の問いに、美影は黙って頷いた。

そして、由羅に抱きつく。


美影の震える体を包み込むように、由羅はそっと美影の背中を摩る。


美影が震える理由…。

由羅はわかっていた。


初めての依頼で、初めて対峙した敵兵。

あわや、美影が殺されるところだった。
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