Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
そして、今日も由羅は偽りの姿で、決して真実を口にしない。


「竜之助は、今日も仕事?」

「ああ」

「それにしても、今日はやたらと汚れてるね?」

「そうなんだよ。今日は、田植えの手伝いだったから」


竜之助の紺色の着物は、所々渇いた泥がついていた。

そして竜之助の顔に目を向け、由羅はフッと笑みをこぼす。


「顔にもついてるよ」

「…えっ!ほんと?」
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