Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
竜之助は少し照れながら、頬についた泥を手の甲で擦る。


そこへ…。


「兄ちゃーん!」


橋の方から、そんな声が聞こえた。


見ると、1人の女の子がこちらに向かって手を振っていた。

その女の子は橋を渡り、小走りで由羅たちのもとへやってきた。


「兄ちゃん、仕事終わったの?」

「ああ、終わったよ」


竜之助は、女の子の頭を優しく撫でる。


「妹?」
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