Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
由羅は竜之助の話を、遠くを見ながらそっけなく答えた。


“まだまだお互いの知らないところがあるんだな”


竜之助の知らない、踊り子椿。

…いや、忍としての由羅。


はたして、竜之助が由羅の正体を知るときは訪れるのだろうか。



「兄ちゃん、お腹空いたー…」


しばらくして、市がごね始めた。


「お腹空いたって…、昼メシまだだったのか?」

「…うん」
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