Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「ワガママ言うなー。兄ちゃん、仕事で泥だらけなんだ。おんぶしたら、市の着物にまで泥がつくだろ?」

「それでもいいもん!おんぶして!」

「…だからなぁ」


駄々をこねる市に、竜之助は困り果てて頭をかく。


そこへ…。


「私でいいなら、おんぶするよ?」


由羅が、市の前で腰を屈めた。


「お姉ちゃん、いいの!?」

「うんっ」

「ダメだよ、椿。わざわざそんなことしなくてー…」
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