Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「そっか。それならよかったっ」



30分ほど歩くと、城下町周辺の開けた風景とは違い、徐々に山に近づいてきた。


そして、森に入る手前のところに、1軒の小さな家が見えた。


「あそこが、俺の家!」


そう言って、竜之助は指差す。


所々、外壁の土が剥がれ、正直なところ立派とは言えない小さな家だった。


「ただいまー!」


竜之助が、立て付けの悪い扉を開ける。
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