Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
小さな声で話す2人の会話も、忍である由羅には筒抜けだった。


「それじゃあ、私はこれで…」


由羅は軽く会釈する。


「待って、椿!送って行くよ!」

「大丈夫。1人で帰れるからっ」

「わざわざ市をおぶってくれたんだし、せめて送らせて!」


竜之助は、さっき脱いだ履物を慌てて履く。


「なにも出してあげられなくて、ごめんね。よかったら、またきてね」
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