Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
由羅は、思わず言葉に詰まる。

これまでのことを思い返してみたが、颯の言う通り思い当たる節はなかった。


「じゃあなんで由羅は、あの1人の女の子のために、こんなにがんばって着物を作っているのか?」


颯は、由羅の顔を覗き込む。


「それは、あの子が…あの男の妹だからじゃないのか?」


なにか核心を突くような…颯の言葉。

その言葉に、由羅は颯を睨みつける。
< 161 / 587 >

この作品をシェア

pagetop