Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「その呼び名はやめろ。今は椿だ」

「…ああ、わりぃ」


訂正し、颯は笛を帯に挟む。


「今日は、…笛の音にうまく乗れなかっただけだ。お前も薄々気づいていただろう?」

「…まぁな」

「ちょっとした口喧嘩で、こうも互いの息がズレるとはな。…私たちもまだまだだな」


由羅はため息を吐く。


颯とは、言葉を交わさなくても息の合うパートナーだと思っていた。
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