Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
竜之助の家族思いな面には、頭が上がらない。


「そうかもしれないけど、お母さんや市は寂しがるんじゃないの?」

「まぁな。実際市は、俺が兵に志願するって言ったら泣きじゃくってたし」

「…ふふ。市らしいっ」

「でもいいんだっ。育ち盛りの俺がいるだけで米の量は減る。兵舎に入れば、そんな心配もしなくていいし、稼いだ金を仕送りにできる。一石二鳥だと思わないか?」
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