Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「え〜、なんで〜?」

「今着たら、どうせ汚すだろ?」

「汚さないもん〜」

「って言って、毎回汚してるだろっ。せっかく椿にもらった大事な着物なんだから、家まで我慢しろ」


竜之助のその言葉に、市はピタリと動きを止める。

そして、少し考えた末…。


「…は〜いっ」


不服そうに頬を膨らませながら、市は着物を畳み始めた。


2人のやり取りを見て、由羅は思わず笑みをこぼす。
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