Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「あの話…と申しますと…?」

「とぼけるのがうまいの〜。そんなもん、幸秀の妻になる話に決まっとるではないかっ」


義秀は扇を広げ、片手でパタパタと扇ぐ。


由羅はその話に、申し訳なさそうに眉を下げる。


「滅相もございません。私の両親は、どこにでもいるような普通の商人。決して、将軍家と結ばれて良い身分などではございませんっ」


身分や格差の厳しい時代。
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