Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「里一番の忍者が、木の枝に掠めて切り傷をつくるなんてなっ。おっちょこちょいと言うか、なんて言うか」

「そうだな。気をつけるよ」


由羅は苦笑する。


この左頬の傷…。

木の枝なんかに引っかかってできた傷ではない。


これは、れっきとした刀傷。


…そう。

この刀傷を負ったのは、前回の依頼でのこと…。



菊葉城に、戦の書を盗みに入るという依頼。
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