Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
それは、相手が竜之助だからそう思った。


由羅が意を決したとき、竜之助にとどめを刺したのは颯だった。


心を無にし、竜之助を殺すと決めて、最後に刀を構えたにも関わらず…。

颯が峰打ちだったと知り、安堵した由羅。


殺さなければならないはずの相手が…生きている。

それなのに、安心している自分がいる…。


標的に情けをかけるなんて、…鞍馬の忍としての恥だ。
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