Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
それに由羅自身も、どんな顔をして竜之助と会えばいいのかわからなかった。


お互いのためにも…、もうこのまま会わない方がいい。


由羅は心の中で、そう呟いた。


…そのとき。


「あっ、お姉ちゃんだ!」


そんな声が聞こえた。


振り返ると、赤い着物を着た女の子が立っていた。


「…市っ」


それは、竜之助の妹の市だった。


「お姉ちゃん、今日もきてたんだ!」
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