Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
パタパタと駆けてくる市。


…市がいる。

ということは…。


「椿!」


自分の名前が呼ばれて、ハッとする。


…いや。

自分の名前が、“知った声”に呼ばれてハッとしたのだった。


その声の主は、もちろん…。


「竜之助…」


…だった。


向かい合う2人。


あの日…。

あの夜、竜之助と対峙したことを思い出す。


由羅は、竜之助の目を見ることができなかった。
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