Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
そんな由羅の着物の裾を、市がクイクイと引っ張った。

由羅が顔を向けると、市は満面の笑みを浮かべていた。


「んふふ〜♪見て、この着物!お姉ちゃんがくれたやつだよ!」


市はそう言って、その場でクルッと回る。


鮮やかな真っ赤な着物。

由羅が舞を披露するときに着ている着物の布で作ってあげたものだ。


「どう?似合ってる!?」

「うん、似合ってるよ」
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