Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
市の嬉しそうな顔に、思わず由羅は笑みをこぼす。


「お姉ちゃんは、今日は赤い着物じゃないんだね」


不思議そうに由羅を見つめる、市。

由羅の今日の着物は、青色だった。


「そうなの。いつもの赤色は、今日はお洗濯中」

「なーんだっ。せっかくお姉ちゃんとお揃いになると思ったのに〜」

「ごめんね。今度は必ず着てくるから」


由羅はそっと、市の頭を撫でる。
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