Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
由羅は、頭の中で考えを巡らせていた。


…そこへ。


「そうだ!俺、椿に言いたかったことがあったんだっ」

「…えっ。…言いたかったこと?」


思いも寄らぬ、竜之助からの言葉。


しかも、“言いたかったこと”なんて…。

…まさかっ。


由羅は、ゴクリと唾を呑む。

右手は常に、小刀に添えられている。


これから発する竜之助の言葉によっては、瞬時に首を跳ねようと考えていた。
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