Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
由羅は、今までになく動揺していた。


「でも本当に、あと少しだったんだよ。黒蝶を捕らえていたら、今頃豊川様の目に留まってたかもしれないのに〜」


悔しがる竜之助。


「…どうして竜之助は、その黒蝶を捕らえなかったの?」


由羅は、速まる鼓動をなんとか抑えながら竜之助に尋ねた。


自分で、自分の正体の核心に迫るような質問。

本当は、聞きたいなんて思わなかった。
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