Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「実際に対峙してみたら、その正体は女の子だったんだ」


由羅はその言葉に、ゴクリと唾を呑む。


もはや…ここまでか。


由羅は、帯に仕込んだ小刀を引き抜こうとした。

そのとき…。


隣に座る竜之助が、突然こちらに顔を向けた。


「…まさか黒蝶の正体が、俺が心に想っていた人だなんて思わなかったよ」


竜之助のまっすぐなまなざしが、由羅の瞳を捉える。
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