Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
その言葉に、由羅は咄嗟に手を口にあてた。


“踊り子椿”は、だれにでも愛想のよい、明るく元気な女の子。

…を演じてきた。


それは、冷静沈着な普段の由羅とは真逆の人柄。


自分としたことが、無意識のうちに素が出ていたことが驚きだった。


「…ご、ごめんっ!」


竜之助の想い人は、“椿”であって“由羅”ではない。

竜之助と接するときは、“椿”でないといけないのに…。
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