Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
市の叫び声が届くまでは…。



「市…、すまなかった。私が間違っていた」

「うん…」


市は安心したかのように、少し微笑みながら頷いた。

そして、由羅に頭を撫でられながら眠るように気を失った。


よほど、心身共に疲れていたのだろう。

まぁ、無理もない。


由羅は市を背負うと、男には背中を向けた。


「待てよ…!」


すると、小屋から出て行こうとする由羅を男が呼び止めた。
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