Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「そういう意味じゃねーけど」


しかし、暗殺に成功したにも関わらず、なぜか由羅は不服そうな表情を浮かべていた。


「どうかしたか?」

「…失敗した」

「失敗?ちゃんと死んでるぞ?」


颯は殿様の死体の枕元にしゃがみ込み、動かなくなった体を指でツンツンと揺さぶる。


「…いや。本当は、声も出せないくらいの瞬殺で仕留めようとしたんだが」

「そっか。最期にこいつ、呻き声を上げてたもんな」
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