Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
男が由羅の正体を口外するかしないかは、由羅にはどちらでもよかった。


ただ万が一、鞍馬一族の里に危険が及ぶようなことがあれば、由羅は責任を取るつもりでいた。


由羅には自分の身を剣や盾に変えても、里を守る覚悟はできていた。


そうして由羅は、片腕を失くした男をその場に残し、小屋をあとにした。



「…市、すまない。本当に…すまない」


自分と間違われ、傷を負わされ連れ去られた市。
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