Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
その由羅の背中にいる市に気づくと、竜之助は安堵した表情を見せた。


「…よかった。市が無事で……」


力が抜けたように、へたり込む竜之助。


由羅は、竜之助の前にしゃがみ込む。


「…いや。…無事ではなかった」


悔しさのあまり、唇を噛み締める由羅。


「攫われるときに殴られたようで、頭に怪我をしている」


ぐったりとした市を竜之助に抱き渡す。
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