Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「…市っ」


竜之助は、市の体をギュッと抱きしめる。


市を無事に連れて帰ると約束したのに…。


その竜之助の姿に、由羅は心を痛めた。


しかし、そんな由羅の思いに反するように…。


「ありがとう、由羅…。もし由羅がいなかったら、市はきっとこんな怪我だけじゃ済まされなかった…」


竜之助は、目に涙を浮かべながら由羅の手を握った。


「…由羅はっ!?由羅は、どこも怪我はしてないか…!?」
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