Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
悲鳴に近いような叫び声を上げ、首から大量の血を流して倒れている殿様を凝視する。


だれが見ても、すでに殿様は息絶えているのがわかる。


「…貴様ら、よくも殿をっ‼︎‼︎」


わらわらと、兵たちが刀を構えて部屋を取り囲む。


「客人のお出ましだっ。それじゃあ帰るか」

「ああ」


颯は懐ろから、小さな丸い玉を2つ取り出す。


それを床へ投げつけると、その玉が破裂し、あっという間に部屋は煙に満たされた。
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