Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「隠しても無駄だ。俺はちゃんと知ってるんだからな。お前らの関係と、由羅があの男に自分の正体を打ち明けたことも…」


由羅は、颯に返す言葉が見つからなかった。

まるで、行く手を阻まれた将棋の駒のように、由羅は身動きが取れない状況だった。


「あの男の妹を由羅が助け出したあとから、俺はお前の行動を窺っていた。普段のお前ならすぐに気づくくらいの、わずかな気配をあえて残していた」
< 383 / 587 >

この作品をシェア

pagetop