Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
市を竜之助のもとへ連れて帰ったとき、背後からその様子を見ていたのは…颯だった。


常に周りに意識を集中させている由羅は、視線や殺気、気配をすぐに感じ取ることができる。


だが、あのときはそうではなかった。


あの場所にいたのは“黒蝶”ではなく、1人の女の子であったから。



「なぁ由羅、もとに戻ってくれよ。あの男に会うまでのお前は、そんなんじゃなかった…」
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