Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「そうだよ。…今でも、よくは思ってねぇよ。でも、気づいちまったんだよ…」

「気づ…いた?」

「ああ。由羅には…ずっと笑っていてほしいって。だから、もうこれ以上、俺のせいで由羅を困らせたくなかったんだ…」


颯は、血の流れる口角を上げる。


「由羅がそばにいると安心する…。そんな由羅には、俺の隣で笑っていてほしいってな」


颯は実に穏やかな目で、由羅を見つめていた。
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