Y U R A 〜その忍、黒き蝶の如し〜
「由羅が言いたいのは、たとえ簡単な依頼であっても気を抜くなってことだよ」


切なげに由羅を見つめる、颯。


…颯は知っていた。


依頼に対する由羅の意思を。



由羅と颯が、まだ美影の歳くらいだった頃。

ある、盗みの依頼に参加した。


城よりも守りの手薄な大名邸の宝物庫から、宝を盗み出すという依頼。


由羅と颯はこの依頼が初めてではなかったし、それまでに暗殺などの難度が高い依頼も数々こなしてきた。
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